3月 2020

多様性のないセクターでの多様性: パート2

作成者 Marina Falisi

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多様性のないセクターでの多様性: パート2

3月 2020 作成者 Marina Falisi

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自分がマイノリティであるセクターで、特にリーダーシップを発揮する立場で働く場合、出世するためには何が必要なのでしょうか?英国HSBC銀行ディレクター、Tatiana Slepova 氏に話を聞きました。

世界最大級の銀行のシニアディレクターである Tatiana Slepova 氏は、この業界が直面してきた多様性の問題についての議論にふさわしい人物です。銀行業界の女性に起きる「二重のガラス天井」と呼ばれる現象はよく知られています。中間管理職に就く女性は38%いますが、重役に昇格できる女性は遥かに少ないのです。私は Tatiana 氏に、銀行業界では30代半ばから後半の女性の定着率があまり良くないという点について話を振ってみました。Tatiana 氏も同じ意見で、主に女性が子供を産んでも仕事に復帰しないことが原因だと考えています。

その理由は?Tatiana 氏は「ワークライフバランスを上手に取ることができる環境ではありませんでした。サポートもほとんどなく、各人がそれを奨励されることもありませんでしたし、柔軟さを取り込むための有意義な会話が出来る気もしていませんでした」多くの女性が出産後に復帰しないことを選択し、復帰した女性がキャリアに影響を与えるような障害に直面したのも当然のことです。こういった人数の減少が、柔軟性の欠如と相まって、この業界で上級職に就く女性が少ない理由の1つとなっているのは必然です。

しかし、状況は変わりつつあります。今日、Tatiana 氏はこう教えてくれます。「多様性と包括性(D&I)は、HSBC の文化の一部です。これは注目度の高い問題であり、多くの報道や関心を集めています。これにより、知識や認識を高めるだけでなく、良い方向に向かう力として宣伝することができます」

Tatiana Slepova

Tatiana 氏自身が HSBC で D&I の支援と推進の中心的役割を担っており、D&I を推進する2つのプログラムを主導しました。励まされるのは、彼女が大きな変化を目の当たりにし、この3年間で変化が加速していると考えていることです。大きな根本的な進歩は、「職場復帰」についての会話をオープンにすることができるようになったことです。Tatiana 氏は言います。「このような文化の変化により、女性は質問することへの恐れに縛られることがなくなり、今では上司の指導を受けながら自分のキャリアを伸ばしていくことが奨励され必要な力量が身に付いていると感じるようになりました。 これは HSBC に限ったことではなく、業界全体に当てはまることです」その結果、労働時間のフレキシビリティの向上、育児休暇の共有、在宅勤務、週休2日制、ジョブシェアリングなど、子育てをする人に優しい働き方が一般的になりつつあります。

このような文化的変化により、女性は 自分の 求める環境に対してよりオープンに交渉できるようになりました。これは重要なことです。なぜなら、Tatiana 氏が指摘するように「企業を代表して交渉している時、女性は非常に効果的で効率的であり、男性の交渉相手との違いはほとんどない」からです。しかし、彼女は「交渉が女性自身の問題に集中してしまうと、その効果が損なわれてしまう」という継続的な課題があると考えています。確かに、女性は職場で力を発揮し、これまで以上に多くの機会と選択肢を与えられています。しかし、彼らが雇用されている企業だけが交渉時にこの新しい権限の恩恵を受けるべきではありません」

このトピックについてご興味のある方は、以下の「ジェンダーと交渉」レポートをダウンロードしてください。 

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Marina Falisi